企業の広報担当者が陥りやすい落とし穴とは?

企業広報がつまずきやすいポイントとは?

~広報と広告の違い、社内外広報、そして信頼構築の本質まで~

企業における「広報」という役割は、単なる情報発信ではなく、社内外との信頼関係を築く戦略的なポジションです。しかし、いざ業務を担当するとなると、具体的に何から手をつければよいのか、どのように取り組めば効果的なのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、企業の広報担当者が業務の中で陥りがちなポイントやよくある思い込みを紹介しながら、「広報と広告の違い」や「社内外における情報発信の役割」についても整理します。読み進めることで、広報という仕事の“本質”を改めて見直すきっかけになれば幸いです。


広報と広告の違い、しっかり理解していますか?

広報と広告はどちらも「伝える仕事」ですが、そのアプローチや目的は大きく異なります。

区分 広報(PR) 広告(Advertising)
目的 社会的信頼やイメージの形成 認知拡大や購買促進
方法 メディアや第三者を通じて情報が発信される 自社が制作し、料金を払って露出を獲得
受け取られ方 客観的、信頼度が高い 宣伝と見なされやすく、信頼性はやや劣る
費用 比較的低コスト 媒体費や制作費が発生するため高コスト
効果の持続性 中長期的な信頼構築 即効性があるが持続性は短いことも

たとえば「新製品をメディアに取り上げてもらう」活動は広報の領域ですが、「新聞に広告を出す」「動画CMを流す」といった施策は広告に分類されます。
広報の担当者が広告関連の判断も求められることは珍しくありませんが、それぞれの役割を理解した上で施策を組み立てることが、情報発信の質を左右します。


「社内広報」と「社外広報」は両輪。どちらも戦略的に

社員同士の話し合い

広報というと社外に向けた活動を想像しがちですが、社内への情報発信も非常に重要です。両者がバランスよく機能して初めて、組織全体として一貫性のあるメッセージを社会に届けることができます。

● 社内広報の役割とは?

社内広報は、社員に対して会社の方針や活動内容を共有し、エンゲージメント(共感や当事者意識)を高める役割を担います。

主な取り組み例:

  • 社内報やイントラネットでの情報発信

  • 部門紹介や社員インタビュー記事の作成

  • 社内イベントの企画・運営

  • 経営層のメッセージ配信の支援

豆知識:
社内報は近年「読まれない」課題が深刻化しています。そのため、動画や社内Podcastを使った“音声社内報”を導入する企業も登場しています。

社員が会社に対して“誇り”や“共感”を持つことができれば、それは採用力の向上や社外評価の安定にもつながります。

● 社外広報の考え方

一方、社外広報は企業と社会との接点を設計する活動です。信頼獲得はもちろん、メディアや消費者との関係構築、万一の危機対応まで幅広い役割があります。

代表的な施策:

  • プレスリリースの作成・配信

  • 記者やメディアとの関係づくり(パブリシティ)

  • SNSやWebサイトでの情報発信

  • 記者会見や広報イベントの企画

  • 炎上時や不祥事へのリスク対応

豆知識:
報道機関に情報を届ける「記者クラブ」は、業界によって登録方法やルールが異なります。広報初心者は“業界紙”から信頼関係を構築するのがオススメです。


広報業務でつまずきやすい5つのポイント

悩む男性

それでは、企業の広報担当者が実際の業務の中で陥りやすいポイントと、その対策を見ていきましょう。


1. 「掲載された数」だけを成果と考えてしまう

「とにかくメディア露出を増やす」ことにとらわれすぎると、本来の目的が見えにくくなります。露出自体は手段であって、目的ではありません。

対策:

  • 発信した情報が“誰にどう届いたか”を見直す

  • 「反響内容」「問い合わせの質」「SNSでの共感数」なども評価軸に含める

豆知識:

“掲載件数”よりも“掲載された記事に対して社内でどんなリアクションがあったか”など、定性的な成果を記録しておくと、経営層にも効果が伝わりやすくなります。


2. 広告を主観で選んでしまう

広告の制作や媒体選びを「上司が好きそうだから」「デザインがかっこいいから」といった感覚的な判断で進めてしまうと、ターゲットからズレた発信になることがあります。

対策:

  • 必ず「誰に、何を、どう伝えたいのか」という軸を定めてから企画する

  • クリエイティブは社内評価ではなく、実際の成果(クリック率やコンバージョン)で評価する

豆知識:

デジタル広告では「A/Bテスト」が常識。主観で決めずに、複数案を出して数字で判断するスタンスが鉄則です。


3. 広告代理店とのやり取りが受け身

広告や広報施策を外部のパートナー企業に委託している場合、任せっきりになることで、企業としてのメッセージがぶれてしまうことがあります。

対策:

  • 「自社らしさ」「トンマナ」などの基本ルールを最初に共有する

  • デザインや言葉遣いに対する細かいフィードバックも積極的に行う

豆知識:

広告代理店には“制作会社寄り”と“戦略設計寄り”の2タイプがあります。自社の状況に合わせて相性を見極めるのがポイントです。


4. リスク対応が後手になっている

万が一のクレーム・炎上・不祥事など、“もしも”のときの広報対応は、事前準備がすべてです。

対策:

  • 想定問答集(Q&A)や謝罪文テンプレートを準備

  • 報道対応のルールやフローを明文化しておく

  • 経営層・現場責任者に向けたメディアトレーニングも有効

豆知識:

SNSでの「火種」は、X(旧Twitter)検索やGoogleアラートで事前に拾えることが多いです。広報部門でも“バズ予兆”をモニタリングする体制を。


5. 社内からの情報収集が不十分

現場の声を拾わずに「外に向けた情報」ばかり発信していると、コンテンツが薄くなりがちです。結果、どこか他人事のような広報に。

対策:

  • 月1回の「情報共有会」や、広報専用の“ネタ箱チャット”を設ける

  • 他部署の担当者に「記事の共同執筆」を依頼するのも効果的


広報の本質は“信頼”と“文脈”

広報の仕事は、企業が社会と信頼関係を築いていくうえで欠かせないものです。
見た目の派手さや数値のインパクトにとらわれず、企業の価値や想いをどう「伝わる」形にするか。その姿勢が問われます。

そして、広報の世界に“完全な正解”はありません。だからこそ、内外の声に耳を傾け、戦略的に言葉を選び、発信の意味を問い直す力が、広報担当者に求められるのです。

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